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省エネ・創エネ お役立ちコラム

太陽光発電

2018年05月10日太陽光発電

故障事例紹介 トラブルに気付かない太陽光発電システム

【故障事例紹介 トラブルに気付かない太陽光発電システム】

対象期間
2014年4月 2015年4月 2016年4月 2017年4月
2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月
実際の年間発電量 42,193 39,682 41,235 39,715
年間予測発電量 37,002 37,002 37,002 37,002
予測比 114.0% 107.2% 111.4% 107.3%

〈表1〉は、2014年から稼動している静岡県浜松市中区の太陽光発電設備における、実際の発電量と予測発電量の比較表です。

共同住宅のオーナー様がご所有の共同住宅へ設置した設備で、200Wのパネルを160枚(合計出力32.0kW)、パワーコンディショナを6台設置してあります。

年間予測発電量に対して、毎年100%以上の発電量がありますので、「良好な稼動状況です!」・・・   と言いたいところなのですが、実は2017年8月から2018年3月にかけてパワーコンディショナが1台停止していたトラブルがありました。

【月別の発電量を確認すればトラブルに気付く?】
〈写真1〉実際のモニターの発電量履歴

monitor_img

設置してある6台のパワーコンディショナのうちの1台(写真1のPC2)のパワーコンディショナにトラブルが発生し、8月に発電量が低下、9月にはほとんど稼動できていなかったことが分かります。

〈表2〉2017年4月から2018年3月までの月別発電量

2017年4月 2017年5月 2017年6月 2017年7月 2017年8月 2017年9月
実際の年間発電量 3,920 4,524 4,289 4,739 3,856 3,059
年間予測発電量 3,601 3,820 3,135 3,458 3,765 2,825
予測比 108.9% 118.4% 136.8% 137.0% 102.4% 108.3%

 

2017年10月 2017年11月 2017年12月 2018年1月 2018年2月 2018年3月 年間合計
1,987 2,282 2,270 2,516 2,897 3,376 39,715
2,674 2,286 2,495 2,653 2,799 3,491 37,002
74.3% 99.8% 91.0% 94.8% 103.5% 96.7% 107.3%

※発電量の単位:kWh

トラブルがあった2017年4月からの発電量を月別にみていきます。
2017年9月は1台のパワーコンディショナがほとんど稼動していなかったにもかかわらず、月別の予測比では108%もの発電量がでています。
これは、2017年9月の日照条がとても良かったことにより、パワーコンディショナが1台停止している状況でも、予測値を超えました。同じことが2018年2月にもおこっています。

【パワーコンディショナの台数が多いほど、トラブルに気付きにくい!】
〈表3〉

パワーコンディショナ
設置台数
2台 3台 4台 5台 6台 7台 8台 9台
予測発電量
(100/台)
200 300 400 500 600 700 800 900
120%発電量
(1台故障時)
120 240 360 480 600 720 840 960
予測比 60.0% 80.0% 90.0% 96.0% 100.0% 102.9% 105.0% 106.7%

〈表3〉は、パワーコンディショナ1台あたりの予測発電量を100として、予測比120%の発電状況、そして設置台数のうち1台が故障して運転停止だったと仮定した場合のシステム全体の予測比になります。

このように、設置台数が6台以上あり、予測比120%の日照条件が続いた場合、システム全体としては常に予測比100%の発電量が得られることになるため、システム全体の発電量を見ているだけでは、「予測発電量を超えてるから問題ないね!」となりかねません。パワーコンディショナの設置台数が多ければ多いほど、システム全体の発電量だけでは、トラブルに気付きにくいということが起こります。

【トラブルに早く気付くためには】
トラブルの中で、もっとも多いのはパワーコンディショナの故障によるものです。故障の発生は仕方がないにしても、発電の停止は、売電収入の低下に直結します。1日でも早く故障に気付き、復旧することが重要です。
では、早く気付くためにはどうしたら良いのでしょうか?

①遠隔監視装置を利用する。
発電設備の設置場所が、オーナー様のご自宅やご自宅から近い場所であれば、定期的に現地を確認することで、全てのパワーコンディショナが運転しているかどうかを見ることができると思いますが、発電設備がご自宅から遠く離れた場所にある場合、なかなか見に行くこともできないと思います。
このような場合は特に、遠隔監視装置の設置をおすすめします。
遠隔監視装置にも様々なタイプがありますが、設置してあるパワーコンディショナごとの故障信号を携帯電話へメール通報できるタイプがもっとも早い対応ができます。
ただし、機器費や通信費が別途必要になってきます。

②他の発電所の発電量と比較してみる。
今回、ご案内した事例でのトラブル発見は、この他発電所との比較でした。
オーナー様が複数の発電設備を所有されていて、他の発電所の発電量と比べて、「どうもおかしいのでは?」と気付き、当社へご連絡を頂き、パワーコンディショナが停止していることを発見できたのです。
ただし、気付くまでに半年ちょっとかかってしまいました。

〈表4〉他発電所の2017年4月から2018年3月までの月別発電量

2017年4月 2017年5月 2017年6月 2017年7月 2017年8月 2017年9月
実際の年間発電量 1,333 1,530 1,456 1,593 1,370 1,162
年間予測発電量 1,257 1,301 1,112 1,202 1,301 996
予測比 106.0% 117.6% 130.9% 132.5% 105.3% 116.7%

 

2017年10月 2017年11月 2017年12月 2018年1月 2018年2月 2018年3月 年間合計
768 921 958 1,037 1,160 1,309 14,597
921 814 863 930 974 1,187 12,858
83.4% 113.1% 111.0% 111.5% 119.1% 110.3% 113.5%

③日照時間(日射量)との比較
気象庁のホームページでは、毎月、各地域の地上気象観測データを公開しています。
(日射量データは静岡県内では静岡市の静岡地方気象台でのみ公開されています)
発電量は日照時間(日射量)と連動しますので、発電量と日照時間(日射量)との動きをみながら確認します。トラブルが発生した場合は、この連動が崩れます。

〈グラフ1〉今回トラブルのあった設備(表2)の発電量と日照時間の関係
今回トラブルのあった設備(表2)

〈グラフ2〉正常な設備(表4)の発電量と日照時間の関係
〈グラフ2〉正常な設備(表4)の発電量と日照時間の関係

この方法は、グラフ化しないと分かりにくい点、慣れないと少々判断が難しいことが問題となります。そして、なによりも面倒なこと。こんなことするのなら見に行ったほうが早いかもしれません。

これまで、トラブルに早く気付く方法として、3点をあげさせて頂きましたが、最善策は、やはり①の遠隔監視装置の利用でしょう。手間も掛からず、もっとも早くトラブルに気付くことができます。トラブル発見までの発電・売電ロスを考えれば、遠隔監視装置の導入費用も高くないはずです。

「今の発電量は正常なのか?」「最近、発電量がおちてきた気がするような・・・。」など、お心当たりのある方はお気軽に当社までご相談ください。他社設置の設備も歓迎です!
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